甘柿も渋柿も原理は同じです★
”神の食べ物”とよばれる★ 渋柿を塩漬け発酵で渋抜きをする!
柿「KAKI」は万国共通の名前で、学名はギリシャ語に至る語源で、”神の食べ物”の意味という★
「醂(さわ)す」という伝承食材に学ぶ★
柿タンニンが植物界最強のポリフェノールか?★
甘柿も渋柿も原理は同じ★
♦秘められた柿のチカラ★
図2 塩漬け柿
今回は渋柿を塩水に漬け込み発酵させました☆
図3 天然柿
♦実は渋柿は甘柿よりも糖度が高かった!
あまりにも強烈な渋みが甘味に勝っているため、渋いと感じる☆
この渋みを抜く「渋抜き」という作業で渋柿をとても甘い柿に変えることができるのです☆
それは「醂(さわ)す」★
♦甘柿も渋柿も原理は同じ★
物質の成分を水溶性から水に不溶性に凝固させ、唾液で溶解しない物質に変化させることです☆
違うのは、熟成期間に柿木自身が行うか行えないかなのです☆
脱渋は熟柿(じゅくし)になるのを待つかまたはタンニンを不溶性にする渋抜き加工をするかということです☆
渋柿の渋抜きの方法は違っても渋が抜ける仕組みはみんな一緒なのです☆
干し柿を含め、炭酸ガスまたはドライアイス、あるいはアルコールを用いて行う☆
渋抜きは大雑把にいえばアセトアルデヒドがタンニンをくっつけて大きな塊にすることで渋味を感じさせなくするのです☆
図4 40度のブランデー酒漬け
♦柿の甘さと渋味(引用)
「柿の渋はタンニンですが、タンニンは水溶性だと渋みがありますが、これが例えば、何かとくっ付いたりすると不溶化されます。不溶性タンニンは渋みが無いのです。それは、可溶性でないと、舌の味覚に感じないからです。したがって、柿が渋いか渋くないかは、柿が可溶性タンニンを含んでいるかどうかで決まります。アルコールやドライアイスなどで渋柿を処理すると渋みがなくなるには、これらの処理でタンニンの不溶化が進むからです。ではそのメカニズムですが、一般に受け入れられていることは、可溶性タンニンはアセトアルデヒドと結合することによって不溶化されるということです。アルコール(エタノール)は酸化するとアセトアルデヒドになります。酒酔いの一つは血中にこのアルデヒドがたまる事だということは御存知だとおもいます。このように、アルコールはアルデヒドに変わりますので、それがタンンニンの不溶化をもたらします。また、ドライアイス(CO2) のもとでは酸素不足となり、酸素呼吸が抑えられますので、ブドウ糖から始まる呼吸の解糖系の産物であるピルビン酸が、正常な酸素呼吸で分解されなくて、ピルビン酸からアセトアルデヒドがつくられてしまいます。干し柿は皮をむくことによって、表面に皮膜が出来てしまい柿の果実は呼吸ができなくなります。その結果アセトアルデヒドがたまります。ということで、渋を抜く方法はいずれも、柿の果実に含まれる可溶性タンニンを、生成するアセトアルドと結合させて不溶化することにあります」 JSPPサイエンスアドバイザー勝見 允行
図5 脱渋した柿
♦秘められた柿のチカラ★
日本人の生活と文化を支えてきた!
「柿で風邪知らず、二日酔い知らず」
「柿が赤くなれば医者が青くなる!」
柿の栄養は 実は果肉よりも皮の方がすごい!
柿の代表的な栄養素は、ビタミンC、ビタミンA、タンニン、カリウムなどが想像以上に豊富☆
「渋柿中のカキタンニンが抗ノロウイルス作用の効果を与える主成分でカキタンニンのもつ強いタンパク質との凝集作用によって抗ノロウイルス効果が発揮されているとの研究が明らかとなる」(広島大学大学院生物圏科学研究科 島本整教授)
図6 干し柿
♦柿は、色々な楽しみ方があるのが素敵!★
酸っぱいのが苦手な方でも食べられる果物です☆
伝統的に柿が食されている海外では熟した柿をスプーンで食べるスタイルが多い☆
イタリアではオリーブのエキストラバージンオイルをかけていただくそうです☆
また在来種のアメリカ柿のパーシモン(干し柿)を保存食として食べていたといわれています☆
極めつきは柿糖のアルコール発酵で天然柿酢づくりもいいでしょう☆
図7 干した柿の皮
♦秘められた柿の皮のチカラ★
何と!柿の旨みも栄養も実と皮の間に豊富!
太陽をたっぷり浴びた柿の皮は、βカロチンがとても豊富☆
レモンに次いで多く含まれるビタミンC☆
食物繊維が豊富な天然のサプリメント☆
βクリプトキサンチンという、柿のオレンジ色の成分には、免疫力強化、美肌効果などといった効果がありますが、発ガン抑制作用があることが研究によってわかりました☆
「β-クリプトキサンチンとは“ミカン”の色の元となっている成分です。ニンジンに含まれるβ-カロテン、トマトに含まれるリコピンなどと同じく、人の血液中に存在する主要なカロテノイドの一つです。温州ミカンやポンカン、柿など、日本人が習慣的に食す食材に豊富に含まれていることから、近年、日本において病気の予防や健康効果についての新たな研究成果が次々と発表されています」(サプリメント大学より)
この栄養満点の柿の皮を天日干しにして乾燥させて料理に利用します☆
柿の皮をなますの食材や糠漬けそしてキムチなどに使用する☆
意外とダイコンとの相性がよく、大根おろしと柿を使ったレシピなども紹介されています☆
我が家は冷凍庫に入れてシャーベット状にしています☆
図8 柿の皮いりなます
♦柿の葉のチカラ★
柿の葉のビタミンCはプロビタミンCといって熱にも強いので加熱してもビタミンCが壊れません☆
柿の葉のお茶はビタミンCが緑茶の約20倍、レモンの10~20倍!
カフェインフリーでカルシウムも含まれているビタミン補給にもいい☆
柿の葉に含まれるアストラガリンというポリフェノールの一種の成分は、抗アレルギー作用をもっており、花粉症の予防に効果があるといわれます☆
(引用)
「 “アストラガリン”は身体の中に入ると“ケンフェロール”に変わる。脂肪細胞から サイトカインというアレルギーの原因となるものがでるがこれをケンフェロールが抑 制しアレルギーの発症を緩和してくれる。」(大阪大学)
「近年、アストラガリンにヒスタミン分泌抑制作用のあることが認められ、花粉症に対する効果が期待されている。西式健康法では柿茶を常用して微熱や虚弱体質の治療に用いている。柿茶の製法は若い芽を摘み取って葉脈を除き、3分ほど熱湯に通し、小さく刻んで陰干しにし、十分に乾燥する。」(漢方生薬辞典)
図8 柿の葉
♦恐るべし!柿渋の力★
柿タンニンは習慣生活病の予防だけでなく衣食住の友★
ひと昔前まで柿渋は生活必需品といえるほど、日本人の暮らしの中でさまざまに利用されていたものです☆
民間薬としては火傷やかぶれの外用薬に利用されたのがはじめで止血にも効果がある☆
またマムシの抗毒、火傷、あかぎれ、中風や高血圧に民間医療としても利用されてきたようです☆
柿タンニンが、空気中で酸化し凝固しやすい特性を持つことで紙や布、糸に強度を与え、素材を丈夫にしてくれます☆
例えば、魚網や漁船、桶、米びつ、和傘、和紙、うちわ、天井板、漆器の下塗りなどに、耐水・耐材を目的に使われていました☆
地方によっては柱や屏風の保存用の袋にも塗っています☆
また、糊に混ぜたり紙どうしの貼り合わせに塗ったりと、接着剤としても利用されました☆
とりわけ防虫効果もあったので、かつてミイラにも用いられたと言われるほどの防腐能力でしょうか☆
現在では加齢臭を抑える消臭石鹸や、足の臭いを防ぐ水虫対策用の靴の中敷きなど、様々な商品が開発され、販売されているようです☆
衣服の染料をはじめ、自然派の壁塗料や、さび止めなどに使われています☆
最近になって携帯電話の金の回収にも使われています☆
♦柿タンニンが植物界最強のポリフェノールと呼ばれるわけだ!
「柿渋ポリフェノールはタンニン・カテキン・フラボノイド、アントシアニンなどを含む高分子の結合体です。しかも、その含有量は、柿渋100g中に3500㎎、緑茶で230㎎、赤ワインで300㎎ですから、なんとその10倍以上もたっぷりと含まれていることになります」☆(柿渋倶楽部HP)
引用参照(京都府立山城資料館)
♦日本酒の製造(酒袋)・清澄剤★
「江戸時代以降、日本酒の製造工程においてモロミを搾るのに柿渋で染めた木綿の袋が使用されました。
毎年この袋を柿渋でそめることから杜氏の仕事が始まったと言われ、それを何年も繰り返し、独特の風合いになった物が酒袋として有名です。
今ではすっかり機械化されており、この酒袋を使用することはなくなりましたが、現在でも清澄剤として日本酒の製造に欠かせない物となっています。
一方、酒袋はその独特の色合い、風合いが重宝され、一部マニアの間では手作りカバン等の材料として根強い人気があります。
柿渋を清酒のおり落としに使って、清酒のタンパクを柿渋でトラップする。
カキタンニンがタンパク質と結合し易い性質を利用して、清澄剤として広く使用されています。
日本酒の清澄剤としての使用が有名ですが、その他味醂、醤油などにも使用されており、この用途が現状での柿渋の一番のマーケットになっています」
♦柿渋は、日本の伝統的な天然塗料・染料そのもの!
♦日本古来の優れた天然素材★
①媒染として
一般的な草木染めと同じ様に、柿渋染も媒染剤を利用してその色の変化を楽しむことができます。
a)鉄媒染
鉄分に敏感に反応して黒くなるのが柿渋(カキタンニン)の特徴で、昔からその性質を上手く利用されてきました。
柿渋の濃度と鉄媒染の濃度によって、薄いグレーから濡れ羽色の黒まで様々な色合いに変化します。
b)チタン媒染
あまり知られてはいませんが、柿渋はチタンに反応して黄色系から綺麗なオレンジ系の色になります。
②顔料として
柿渋は化学物質とは馴染みませんので、有機系物質が含まれていると分離してしまいますので、顔料を使用する場合には無機系の物に限られてきます。
その点からか、昔から弁柄(ベンガラ)が良く使われてきました。
昔の町家の黒っぽい窓枠などは柿渋にベンガラを混ぜて使用された色です。
その他、墨や松煙を混ぜ合わせても、独特の良い色合いに仕上がります。引用参照(京都府立山城資料館)
♦21世紀に相応しい天然素材の優れもの!
今日、急速な石油化学製品の発達により急速にその需要が減退し、殆ど忘れ去られた存在となった☆
柿渋は化学物質を一切含まない、化学の力やエネルギーを必要としない☆
私たちは柿のパワーに注目をしてリスペクトしていきたいものですね☆
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